・HENRY POOLE & CO(ヘンリー・プール)
・HUNTSMAN(ハンツマン)
・ANDERSON & SHEPPARD(アンダーソン・シェパード)
◇ロンドンのメイファー地区にある老舗テイラー
サビルロウの有名店をドーメルロンドン社の特別な計らいで
その全貌を視察させて頂きました!!!
スーツファクトリーの私たちに、伝統的スタイルを公開するということは、
絶対にまねできない高度な技術により自信があるからこそできること
私たちは、ひとめみてその手間暇のかけ方に驚かされました
自分たちもスーツ作りにかける手間暇は惜しむことはありません
安かろうのスーツが量産される時代に先進国であるイングランドで200年以上も有名店が生き残り、今も世界中に顧客を持ち、お客様に支持され続けている姿を見て、ファイブワン・ファクトリーが守ろうとしているスーツ作りの技術と手間暇をおしまない姿勢は、決して間違っていませんでした
2012年6月18日の午前10時
ドーメルロンドンはサビルロウの入口にあたる通り沿いに店を構え
そこで、クリス・ジェットさんがお出迎え
窓の中に見えるのがKIBOU311で南三陸に植樹した桜のイメージ
本当に感激しました
中のショールームには貴重な生地が沢山保存されており
18世紀からの洋服の歴史そのものです
今年のドーメル150周年を記念したマッターホルンブルーも拝見
◇ヘンリープールに到着
店内はヨーロッパの紳士御用達といった雰囲気
勿論聞きたいことが山ほどあり・・・質問攻めに
目の前の金色装飾をほどこしたモーニングについて
18世紀から正装として着用される洋服で
長い方はフルフォーマルでモーニングコートのようなもの
短い方はセミフォーマルでタキシードのようなものだそうです
写真の優しそうな男性職人が製作者で
金製のテープ状生地を曲線に綺麗に縫い付ける技が難しいよと
技術的なことをたっぷりと語って頂きました
その説明に私たちの通訳をしてくれたイングランド在住の友人によると
金250%の素材を使用しているとのこと(笑)
重量は30キロ以上(これも着れない)
着てみろとの誘いに値段を聞いて(ノーサンキュー)
年収より高いようですが・・・120年着れると聞いて納得
昔のものと思われてはこまりますよ・・・これが最新モデルです
そしてヘンリープールの心臓部である工房へ
ここではベテランさん2人から
「ファイブワン・ファクトリー製」のスーツについて評価を頂けることに
私が着ているのはドーメル社の計らいでお世話になることもあり
ドーメルが今年の10月に発表するセレモニアの生地
なんとビスコース・ポリのというサビルロウに着て行ってはいけない生地
タキシードの研修を目的にしている私にとって仕方のない選択
なんといわれるかと思い冷や汗ものの私に
この生地は縫製が非常に難しいのに仕上がりが丁寧で綺麗だとほめて頂き
それにパイピングにも興味津々で技術者の目線にびっくり
ファクトリーの技術に自信を深めた瞬間でした
ヘンリープールのスーツがいくらで買えるのか興味津々で聞いてみました
スリーピーススーツ 324000円から
年間1200着しか作れないので顧客の方で手がいっぱいだとか!
18世紀からの顧客リストは第一次世界大戦で一部が消滅したそうですが
ほぼすべてを大切に保管されているそうで
お客様の好みがこれを見ればすぐにわかりますと!!!
18世紀のお客様が今でも顧客として・・・子孫が通われているそうです
◇ハンツマンに到着
店内のソファには顧客と商談する姿が
ビスポークに相応しい雰囲気です
少し今っぽさというか気品を感じる店内
さすがに日本の有名百貨店でも取り扱われているだけあり
サビルロウの人気店です
世界各国の著名人が顧客に名を連ねていると
自信たっぷりの様子
上機嫌でパターン室から型紙保存室へ
そして工房に案内頂きました
ハンツマンの工房を見学できたことに感激
作りの丁寧さは折り紙つきで一着の服にかける手間暇に唖然
生地の地の目を動かないように綺麗なラインを作り出す縫製技術は
けっして人前で着て分かるものではありません
手作業の多さに私たちもうならされました
ここでも私たちの通訳をお願いした友人に大活躍頂きました
これは何を作る作業ですか?
衿を作ります・・・手ではざしをします
私たちのファクトリーでは手作業により手間暇を惜しまずに
なおかつ効率的に良い仕立てをしてお客様にご満足頂くこと
目に見えない価値を届ける理念は同じです
しかし行き過ぎた手間暇で縫製工賃が高くなりすぎることにも気を使います
サビルロウではそのようなことは無視して
見えない価値をわかるお客様だけで生き残っているようです
同じことを日本でしてみたいものです
ハンツマンのスーツの価格を聞いてみると
ジャケット 200000円から
本物のスーツであることに間違いありません
◇アンダーソンシェパードへ到着
この地域で一番の繁盛店であり
是非見たいともうしでたところクリスはOKだと交渉してみるとのことで
入口を入るとソファーでお客様がゆったりとくつろいでおられ
採寸ルームでは大柄な紳士がフィッティング中
月曜日というのに昼から大繁盛のようです!
センスの良さと気品を感じる店構え
私たちは一度入店してお客様の接客中だったこともあり遠慮して店を出たのですが・・・お店の方が出てきてお客様が是非お入り下さいとのこと
気を使われて入れてくれた英国紳士の気遣いに感謝
ワインを飲みながら優雅に洋服を仕立てる
英国らしい文化ですが日本でも少しずつ浸透してきています
ファイブワン銀座本店ではワインバーを併設した銀座さら双樹と同じフロアに
オーダーサロンを構えています
英国流のオーダーメイドスーツは今年の一押しでもあります
是非チェックしてみて下さい
そして店内を拝見したら・・・
アンダーソンシェパードの店主に一日に何着売れますかと失礼な質問・・・
1日平均10着売りますと即答
そんな大事なことを聞いてしまえる同行させて頂いた友人には感謝
◇サビルロウを手本にしたファイブワン創業者の想い
洋服を誂えるテーラーと縫製加工事業者が5軒集まり1つの会社になった事
1964年に大阪枚方の既製服団地でファイブワン工業がスタート
その理念は
「日本の洋服文化を世界レベルにすること」
サビルロウに魅せられて
ファイブワン工業を日本4大ファクトリーといわれるまでに育てた
先代社長はオーダーメイドスーツの時代が来ることを予測して
ファイブワンファクトリーをオーダーメイド中心に変えるために
サビルロウを研究しました
今回の研修で大いに成果がありました
これからも手間暇をかけることを惜しまず
ベテランから若手職人に技術を継承することにより
日本の洋服文化の発展に尽くしてまいります
ファイブワン・ファクトリー 代表 森俊彦
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