【芯据え】
【縫製管理と同時に、現場もこなせるエキスパートで、若くしてファイブワンファクトリー縫製担当責任者・山下】
今回は「芯据え」工程。まず、必要な物は主に「前身頃」と「毛芯」です。
手順は、『芯据えアイロン』⇒『芯据えジャンプ』⇒袖ぐり芯段カット⇒返り線テープ吊⇒ラペル⇒剣先ハ刺し⇒ゴージテープ貼り⇒ラペルフロントゲージ合わせの順になります。
その中でも最も大切な『芯据えアイロン』と『芯据えジャンプ』を紹介します。
※『芯据えジャンプ』
まず、毛芯を置き、地の目を整え、肩ぐせを出します。次に毛芯の上に前身頃をのせます。その時に、毛芯の地の目と前身頃の地の目を合わせます。それから前身頃を、アイロン操作し、据えていきます。
この工程は経験と技術が必要です。
要点は、くせとりアイロン処理の際に、肩の部分を前に出すよう(前肩)にして、日本人に合う形をここで作り上げています。平面の生地から、立体的でかつ、いかに着心地の良い服に仕上げられるかのポイントがここにあります。
※「生地を落ち着かせる」
1時間放置しエイジングの後、ジャンプミシンで固定します。時間を短縮するためにも、すぐに次の工程に入りたいところですが、ファイブワンファクトリーでは、必ず時間をおきます。アイロン処理した生地は、時間をおいて落ち着かせてからの方が美しい仕上がりになるからです。手間と時間をかける工程です。
※『芯据えアイロン』
どの工程も大事ですが、ファイブワンの中でも「芯据え」工程は特に大事な工程のひとつ。この工程だけでも、書き切れないほど伝えたい事やファイブワン独自の技術がまだまだあります。
これからも少しずつご紹介して参ります。お楽しみに!
オーダースーツ直営店を銀座・大阪・神戸で展開する ファイブワン・ファクトリー
当社の創業は1964年(昭和39年)。工場のある大阪府枚方市の紳士服既製服団地は、当時36社の大手縫製工場が稼働する日本のアパレル産業を代表する産地でした。
しかし、オーダーメイド(注文服)スーツからレディーメイド(既製服)スーツが主流になっていったことに加え、工賃の安上がりな中国への移転が急激に進んだことで、徐々に衰退していきました。
そこで、高度経済成長期に、大阪で縫製を営む5つの工場が1つになり、高級ブランド/有名セレクトショップのレディーメイド(既製服)専門の工場として、「ファイブワンファクトリー」はスタートしました。ちなみに、FIVEONE(51)という名前の由来はここからきているのです。
その後も、時代の変化(バブル崩壊やリーマンショック等)に伴い、現在では縫製工場は4社しか残っていません。
我々ファイブワンファクトリーにおきましては、厳しい社会情勢の変化に対して、高級ブランド有名セレクトショップのハイクラスのレディーメイド(既製服)を継続しながら、同時に、ファクトリーブランド【FIVEONE】を立ち上げ、「直接」お客様へ、「オーダーメイド」スーツを提供するという変化をまたもすることにより、ファクトリー経営を継続させて頂いております。
※水牛の角をくりぬいて作られた釦(ボタン)。当時は、ヨーロッパからの輸入品ということでで大変貴重なものでした。
※1964年当時の面影が今も健在。桜の木を使った床は、立ち作業でも疲れにくいなど、職人の砂上環境を向上されるための施策です。歴史を感じさせる「針の整理棚」もまだまだ元気!
私が、ファイブワンのスーツを初めて着たのは、今から十数年前・・・当時は高級紳士服の中でもオーダーといえば高い服として、ダンヒルやランバンなどのブランド品が人気だったのを記憶しています。
20代前半の時、10万円という「大金」で購入したランバンのスーツは、ダブルブレストスーツで、若々しさはなく貫録のあるスーツを着ていたことから、会社で私の年齢を知らない人から、「45歳ですか?」と言われた時のショックは今でも記憶に新しいです。
その後、わたくしが34歳の時(2008年)に、ファイブワン前経営者から代表就任のお話を頂くまでは、体形に気を使わないあまりに、スーツのサイズは既製服では対応できないほどでウエストは100センチに3センチ足らないところまで接近しておりました(笑)。
しかし、2009年4月1日に代表に就任させて頂くまでに、『「ドロップ7/46サイズ」を着こなせる体形になって、試しにイタリアブランドの服をたくさん着てやろう!』との思いから、3か月の食事改善が成功して体重は20キロ減に成功したわけです。
オーダースーツなら、どのような体型の方にもきれいなライン・シルエットを構築することが可能ですが、やはり体が引き締まっている方が、スーツ姿は映えるものですね。
・・・かくゆうわたくしも、油断すればすぐに戻るので、今も食事には気を使っております・・・
ファイブワン・ファクトリー株式会社
代表取締役社長 森俊彦