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スーツ用語はわかりづらい? ~ゴージライン~

こんにちは

 

まだ私が洋服に本格的に興味を持ち始めたばかりの学生時代のことです。
セレクトショップに入ると、店員さんが色々説明して下さったのですが、
「プレッピーな着方が…」、「吸い付くようなのぼりが…」等々
当時はさっぱり意味が分からなかった言葉を連発されて委縮してしまい、
結局何も買わずお店を出てしまったということがありました。

こういう限られた対象、業界しか伝わらない言葉を「ジャーゴン(jargon)」と言うそうです。
何羽もの鳥がガーガージャージャー鳴いている様からできた英語で、
「何を言っているのかさっぱりわからないこと」なんかも指すようです。
ジャーゴンは部外者を不愉快にさせてしまうことも多々ありますが、
意味が分かると今まで見えていなかった新しい世界が見えてくることもあります。

紳士服の世界は、このジャーゴンだらけです。
色々知らない言葉を覚えるのが鬱陶しくてスーツ嫌いになってしまったという
方もおられるかもしれません。
これはあまりにもったいないと思うのです。
何事もわかってくるほど楽しくなるものですし、スーツも例外ではありません。

というわけで本日は、
「スーツのよくわからない言葉」について取り上げてみたいと思います。
拙い解説ですが、少しでもお読みいただいた方のスーツライフが
より良いものになれば幸いです。

今日取り上げてみたいのは「ゴージライン」です。

このゴージライン、皆様どこの事かわかりますか?

上衿(カラー)と下衿(ラペル)を縫い合わせるラインのことです。

ゴージライン

襟縫い線とも呼ばれているもので、これはスーツの襟を立てていた時代に由来します。
スーツの襟は軍服の立襟から変化したと言われておりまして、
第1ボタンを外して外側に折り返したのが下襟のラペルになったわけです。
上襟と下襟の境目のラインが立襟スーツのときの喉の部分に当たるので
ゴージ(喉)ラインと呼ばれます。

ゴージライン

 

「こんなただの縫い目に名前が付いているなんて」と驚かれる方もおられますが、
角度や高さでスーツの表情を決めてしまうとても重要な部分です。
スーツによって位置が高かったり低かったり、緩やかにカーブするものや
「肩のラインと平行にする」というようなこだわりがあったりとなかなか面白いものです。
※どのくらいが高いのか、低いのかはとりあえず自身の感覚でOKです。

ゴージライン

 

最近は「高めのゴージラインが今流行で」…というようなことを書く雑誌も多いですが、
こういう論調に私は懐疑的です。
確かにゴージラインは時代によって微妙な変化がありますが、
「流行を作る為にゴージを高くしたり低くしたりするデザイナーがいる」とか
「どこどこのスーツ風にするためにしてゴージの雰囲気を真似る」というのが
実際のところほとんどです。
世界的に有名な職人たちは、流行に振り回されることなく
自分が美しいと思うデザインにしますし、
だからこそ10年以上たったスーツも古臭くならず、ずっとかっこいいのです。

「細めのスーツに合わせて視線の位置を高めに設定してスッキリした印象にする」
…というような説明がついてくることも多いですし、
実際ゴージラインに印象を変える効果があるのは否定しません。
ただ、「わかっていてやる」のか、「流行だからとりあえずやる」のかでは
全く意味も着ていくうえでの満足度も違います。

スーツを仕立てる際はメディアに振り回されないよう、フィッターとじっくり話しながら
自分のスタイルを追求して頂ければと思います。

ゴージライン

ちなみに通常パターンオーダーの範疇では下衿の幅は動かせても
ゴージラインそのものは動かせないものがほとんどです。
ファイブワンでは工場直営というメリットを生かし、
オプション料金を頂いて衿型の型紙を作ることで調整することもできますので、
もしこだわりのある方でしたら出来る限り対応させて頂きます。
チャレンジしてみたいという方はお気軽にお問合せ下さい。

ゴージライン

最後に余談ですが、このゴージという言葉は語源的には
「ゴージャス」という言葉と関係しています。
というのもゴージャスという言葉には「絢爛豪華な」「きらびやかな」という
意味以外に「首を飾るにふさわしい(もの)」という意味があるようなのです。

ラフ

17世紀頃まで欧州の宮廷貴族にとっては上の絵の女性が首にしているような
豪華なヒダ衿(ラフ)は必需品でした。
きらびやかで首元を飾るのにふさわしい高価なラフをした貴族達が
「ゴージャス」のベースになるイメージなのです。
当時は衿や袖など汚れやすい所がキレイであることがお金持ちであることの
証明になったということもあり、その「キレイな衿」が行き過ぎた姿が
ラフであったようです。

ラフをしなくなり過剰に派手に見せる必要がなくなったとしても
グラグラしない油断のない首は階級的な威厳を表現するものであり続けました。
「キチンとした首元」には日本人が思う以上に強い思いやメッセージがあるのでしょう。
だからこそシャツの衿の隣で首元を飾るゴージラインもまた、
今でもスーツの表情を決めるポイントとして重要視されているのかな…等と
想像をかき立てられる話かと思います。

だいぶ長くなってしまいましたので本日はこの辺で。

素敵な休日をお過ごしください。

大阪本店 中村

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