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ネクタイの意味を考える

こんにちは

急に気温があがり、ノーネクタイの方がどんどん増えてきました。
皆様「涼しく装う」為の準備はお済みでしょうか?

ノーネクタイにするにしても、かっこよく装うためには、
ネクタイの意味や価値を知っておくことが重要だと思います。
何がなくなったのかを理解できていれば、別で補完したり
ないことを逆に利用することが出来るかもしれませんので。

CANONICO Mohair Twill

 

ネクタイの最大の機能は「自分が何者か」というメッセージを発信することにあると思います。

まず、ネクタイをしているという事実そのものにもメッセージがあります。
例えば大人の女性の場合、公の場に出る時
(顔をぬぐったりできなくなるのに)お化粧をして、
(歩きづらいに決まっているのに)ヒールの高い靴を履いているほうが、
そうでない場合よりもより洗練された印象を相手に与えます。

ネクタイや首のしまったシワの無いシャツ等もこれに近い機能があります。
ネクタイが上手く結べていなかったりすぐに緩めてしまうより、
一日通してキレイにネクタイをしているほうが当然洗練されている印象になりますし、
しまった首元は油断を感じさせません。

「何かしら自由を制限されて、同時にそれを感じさせずに振舞える人」に対して、
我々は「洗練」や「余裕」といった大人の属性の意味を感じてしまうものなのです。

 

 

次に、それぞれのネクタイから発信されるメッセージです。
基本的な構成要素が決まっている紳士服の中で圧倒的に自由度の高いネクタイは、
色・柄・素材・幅・結び方等でその人の雰囲気、価値観、センス等の
いろんな情報を発信しています。
第一印象は出会って3~5秒で決まるとされていますが、どう思われたいかを
一番簡単にコントロールできるのがネクタイであると言えるかもしれません。

これらの機能に気づき、上手く利用できる人にとっては、
個性の窓でありビジネスにおける大変重要なアイテムになり得ますし、
そうでない人にとってはいつまでたっても苦しいだけの布切れでしょう。

 

ではこの、(慣れていない人にとっては)苦しいだけの
ネクタイとはそもそも何故するようになったのかご存知でしょうか。
諸説ありますが、有名なお話をご紹介致します。

ルイ14世

タイの起源とされているのは17世紀頃、クロアチアの名も無き傭兵達が
ルイ14世の宮廷に出仕する時に首に巻いていたスカーフです。
彼らは彼らの無事を祈って妻や恋人から贈られたスカーフを首に巻いておりました。
それを見たルイ14世が興味を示し、側近に「あれは何か」と尋ねたところ、
側近は(スカーフについてではなく)クロアチアの兵士について尋ねられたと
勘違いし、「クロアチア兵(クラバット)です」と答えたため、
その布をクラバット(cravat)と呼ぶようになったそうです。
街を歩く時にもクラバットを巻いた兵士の姿はかっこいいと評判になり、
王様だけでなく街の人、ついには当時敵国であったイギリスにも
広まることになりました。。

絶対的な権力に対して卑屈になることなく堂々とふるまい、
フランス国王も真似したくなるほど「かっこいい!」と思わせたクロアチア傭兵達の
漢気が感じられる、個人的に大好きなエピソードです。
(14世紀にはすでにフランスで「cravate」という単語は使われていた、という説もあり
真偽のほどは定かではありませんが…)

ちなみに現在でも、フランス語等ではネクタイをクラバットと呼びます。

ネクタイ ファイブワン
この後しばらくの間、クラバットは戦場で貴族達の首を守る役割を果たしてくれましたし、
洒落者達によってあらゆる結び方が考案されてきましたが、
19世紀の終盤には緩く巻いて垂らすだけの装飾になっていたそうです。
クラバットをまたほどけないようきつく結ぶようにしたのは四頭立ての馬車の御者です。
一人の手で四頭の馬(four-in-hand)を扱った馬車は当時のスポーツカーの様な存在で、
とてもスピードが出ます。
御者にとってはクラバットを結ぶのは風で飛ばないようにする為の工夫でしたが、
スピードの出る馬車にひらひらたなびくクラバットはかっこいいと
大変評判が良く、これがダービーなどスポーティな社交を通じて広まったそうです。
今でもプレーンノットの事をフォアインハンドノットと呼ぶのは
このお話に由来します。

そしてこの頃から、デザイン的にもスカーフに近かったクラバットとはちがう、
現在我々がするネクタイとほぼ同様の形結び下げネクタイが登場し、
ネクタイという表現が一般的に使われるようになったそうです。

 

ネクタイをし始めた時も、結び始めた時も、
シンプルに「かっこいいから」広まっていきました。
さらにそこに長い歴史の中でいろいろな物語が付随し、
今でも紳士の胸元を飾り続けるほどの価値を手に入れてきたのです。

これらの歴史に敬意を払いつつ、それでいて日本で涼しく装うというのは
とても難しいことですが、まだまだ私も模索していきたいと思います。

 

 

大阪本店 中村

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