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裏地のあれこれ

こんにちは

本日は7月24日。スポーツの日でございます。
祝日が増えたのかと思いきや、10月第2月曜日の「体育の日」が移動しているだけらしく、
10月は祝日がなくなっているみたいですね。
あの時もっと充実した時間を過ごしていれば…なんて10月になってから後悔しないよう、
素敵な4連休をお過ごしください。
さて本日は、暗いニュースばかりの毎日でもちょっとテンションを上げてくれるかもしれない
「裏地」の話でございます。

 

英語ではライニングと呼ばれ、15世紀頃にはすでにこの言葉が使われていたようです。
もともとは表地に汗をにじませない、摩擦の軽減などを意図して付けられておりました。
素材としてリネン(linen)を使っていたのでそのままライニング(lining)になったと言われています。
その後裏地は保温力を高めるものとしても進化をしていきます。

今は裏地に麻素材を使う事はほとんどなく、一般的にはキュプラという
天然素材を原料とする再生繊維が高級裏地とされ、旭化成が商標登録している
「ベンベルク」もキュプラの一種です。
キュプラはなめらかな肌触り、吸湿性・透湿性に優れている、静電気が起きにくい等の
メリットがありますが、天然繊維や合成繊維に比べてデリケート故洗濯の際には注意が必要です。
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以上が簡単な裏地の基礎知識です。
単なる着心地を向上させる副資材でしかなかった裏地ですが、
日本人にとって昔から裏地には重要な個性を表現するアイテムでした。

江戸時代の緊縮財政の折、贅沢は敵ということで町人は絹織物を身に着けてはならぬという
お達しが出た事がありました。
しかしここで町人は表地は木綿、裏地は絹の着物を作って抵抗したというエピソードがあります。
人知れず自分を解放する手段、従うふりをして自己を通す気概、
こういった思いが裏地で表現されていました。
ちなみに凧揚げで使われる「タコ」も元々は「イカ」という名前だったそうですが、
江戸時代にイカ揚げが流行り過ぎてそこら中にひっかかったりして危ないということで禁止されたらしく、
庶民は禁止された後も「イカではなくタコだ」と屁理屈を言って同じ遊びを続けていたら
そのまま「タコ」という名前が残ったという話もございます。
江戸の町人達の、このお上に対する反骨精神は少し痺れるものがありますね。

少し時間が経って明治に入り日本にスーツが広まり始めた時期のことです。
当時の職人達はまだシルエットや着心地云々という部分はよくわかっていませんでした。
そういうこともあって当時はとにかく丈夫に仕立てて、後は裏地に刺繍を入れるのが
上手い職人が人気があったそうです。
新しい装いになっても、やはり裏地にオリジナリティを求める文化は強く残っていたのでしょうか。
日本でオーダースーツ=刺繍でネームを入れるという発想もこの時期に生まれたようです。

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割と最近では1980年頃のツッパリ達も制服を改造して裏地を派手にしていましたので、
スーツの裏地もあまり派手すにするのは恥ずかしいという方も多いですし、
もちろんやり過ぎてどういうシーンに着るスーツなのか見失ってしまうのはよくありませんが、
反骨精神や自己表現の手段として選んだ裏地ならスタイルとして成立するのかもしれません。

裏地の色はスタイルとは関係ないということで表地と同色にしておくのも正解、
仕立てる以上気に入った色味にしておこうというのも正解です。
沢山の裏地を見ながら、楽しんでオーダー頂ければと思います。

皆様のご来店、心よりお待ちしております。

ファイブワン大阪本店 中村

 

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