セミブローグという靴
こんにちは。
銀座店の米山です。
突然ですが、革靴ってよくわからない…と思ったことがある方、少なくないと思います。
というのも「これって結婚式で使えますか」「これってどういう靴ですか」という質問を頂くことがままあるからなのですが。
なので、せっかく皆様に発信できるこういう場がありますから、FIVEONE的革靴のあれやこれやを書いていきたいと思います。(シリーズ化の予感…)
というわけで、今回は「セミブローグ」についてつらつらと書いていきましょう。
セミブローグの汎用性
結論から言いますと、このセミブローグシューズはビジネスで使用して何も問題はありません。
しかし結婚式では避けた方が宜しいかと思います。ブローギングやメダリオンのある靴は特に、フォーマルにはあまり向きません。
ビジネスシーンにおいては使いやすさとデザイン性のバランスはピカイチと言っても過言でないと思っております。
ブローグって何?
そもそもセミブローグやフルブローグといった靴にある「ブローグ」というのは、アイルランドやスコットランドなどにおいて湿地帯を歩く際や雨天時に効率良く排水できるよう穴が施された靴(ゲール語でbróg)に由来します。
英語のbrogueという言葉が初めて使われたのはどうやら16世紀頃、散歩等に使われる靴に対してのようです。
この頃はブローギングの施された靴はカントリーシューズや労働靴的なポジションでした。
つまりその時点では、ビジネスには不適切と考えられていたことがわかります。あくまでワークシューズというポジションだったのでしょう。
かつては水はけを向上させ、より耐水性に優れた靴にするために開けられた穴ですが、現在はデザインとしての側面が強くなっています。
内羽根のウィングチップが世に出てから、歴史を重ねていくにつれ、ビジネスでは定番と言えるほどまでに親しまれるようになったのです。
「とはいったもののフルブローグはちょっとアレだけれど、つま先のメダリオンステッチは欲しい。」
そんなビジネスマンのあなたにちょうどいい靴だというのは間違いありません。
(メダリオンはいらないけど先端の「W」は欲しいという方はぜひこちらを)
なぜ日本で履いているのをあまり見ないのでしょう
しかしながら、ストレートチップをよく履いているけれどセミブローグは履かないなという方、意外と多いんですよね。一方クオーターブローグ(パンチドキャップトゥ)は履く人はいるのです。
そしてフルブローグ(ウィングチップ)を履いている人も良く見ます。
調べてみると、このセミブローグが日本においてなかなか知られていない、なじみがない理由は、広く流通し始めたのが1990年代と比較的最近だからという理由があるようです。
実のところ、セミブローグ自体は1930年代に英国の老舗紳士靴店で販売されていたというのですから、随分と時間的隔たりがあります。
そういえば履いたことないな…という方がもしいらっしゃいましたら、
次の一足に是非ご検討くださいませ。
400年経った今、ブローグシューズはスーツだけでなくジャケットスタイルにも使いやすくなり、ビジネスで活躍すること請け合いです。