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ベストのススメ(第二回)

こんにちは。

ファイブワン大阪店、中村です。

本日は第一回に続いてベストのマニアックなお話を少々…
(前回分は↓まで)
第一回
早速ですが「なぜベストをきるようになったか」という
ルーツについてご案内いたします。
ときは1660年、イギリスのお話です。
この時代はチャールズ2世という国王が治めておりました。
※画像の人物です。
こちらのチャールズ2世は、「メリーモナーク(陽気な王様)」なんて
あだ名がつくほどの根っからの好色漢でございして、
公認された愛人が13人もいるほどでした。

チャールズ2世2

 

しかし、ただでさえ遊びすぎて財政が厳しいところに、
1665年のペスト大流行、1666年にはロンドン大火と
イギリスに災禍が続き、
「これは女道楽に溺れる国王と宮廷への天罰である。」
なんて説まで飛び出してしまいました。
そこでこちらの能天気な国王様は、
「正しい宮廷の在り方を衣装で示す」という、
ちょっと間の抜けた方法で宮廷改革をしようとしました。

この時の宣言を「衣服改革宣言」といいます。

「余は新しい衣服を採用することにした。以後、これを変えることはない。」
という宣言に出てくる新しい服、これこそが「ベスト」なのです。
1666年10月、チャールズ2世と側近は初めてベストを着て登場致しました。

 

この時のベストは「黒い司祭服のような丈の長いコートのようなもの」
と表現されており、袖もあって丈も長く、
現代のベストは似ても似つかないものでした。

それでもこのとき生まれたベストが現在のベストの
ルーツになっていると言えるのは、その背中部分でした。

表地こそ豪華な刺繍が入っていましたが、
袖や背中は安物の生地でお茶を濁すデザインだったのです。
『見える所はお金をかけていいが、
見えないところへの余計な出費は抑えてその分倹約しなさい』
…そうチャールズ2世は言いたかったわけです。
それならそうと口で言えばいい、
なんて無粋なことを言ってはいけません。

いつの時代も、男は背中で語りたがるものなのです。

着用風景

紳士服の世界に登場したベストは、
当時の貴族の間でも大流行しました。
ただし、なんとも皮肉なことにこのアイテム、
倹約を教えるどころか宝石がたっぷりついた贅沢品として
世の中に広まっていき、贅沢ブームをさらに助長してしまうのでした。
なかなか人生、上手くいかないものでございます。
以上、大変長くてマニアックな歴史のお話となってしましたが、
如何でしたでしょうか。

 

私個人としても、今日においてもベストが倹約への思いを
呼び起こす服になっているとはあまり思いません。
しかし常にボタンを締め切って着るベストのおかげで、
食事の際に「あ、苦しくなってきたしもうこれ以上食べるのはやめておこう」
なんて思わせてくれるという意味では、
ある程度「節度を保たせる」服として機能している気がいたします。

そしてなんといっても王様の打ち出したルールに乗っかったふりをして、
上手くを自分たちのファッションとしてベストを取り入れた、
当時の紳士たちの遊び心を思うと
ベストの見方が少しだけ変わってきませんか?

 

それでは今回はこの辺で。
次回はベストが今の形になっていくまでのお話を少しさせて頂きます。

大阪本店 中村

 

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